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【需要高まる】ドラレコ爆発的人気に


東京・東雲にある大型自動車用品店、スーパーオートバックス。店内の目立つ位置に賑やかな販促の装飾が施されていたのが、ドライブレコーダー(ドラレコ)売り場だ。

 ドラレコとは、車のフロントガラス上部に取り付けて走行中の映像や音声を記録する小型カメラのこと。売り場には、平日の昼間にも関わらず商品を物色する客が引きも切らずやってきた。売れ筋商品の中には「欠品中」の札がつくものもあり、人気度が上昇している。

きっかけは「昨年10月に東名高速道路でのあおり運転事故が報道され、ドラレコの必要性が繰り返し紹介されると、爆発的に売れはじめた。12月ごろにはメーカーからの供給が間に合わずに品切れが続出、接客に2時間お待たせする、という事態になった」と語る。現在は供給体制も整い、2017年の市販台数は前年比7割増の109万台と大きく伸びた。
 これまでも、軽乗用車暴走事故や、2013年のロシアでの隕石落下など、ドラレコに記録された映像がSNS上で話題になる瞬間風速的に需要が高まることはあったが、メーカー各社は「話題性で売れる段階は過ぎ、必需品として市場に定着してきた感がある」と口をそろえる。

 人気が高いのが、前後方を記録できる2カメラ式のものや、逆光で画像がつぶれることを防ぐHDR(ハイダイナミックレンジ)のもの。さらに、中堅カー用品メーカー・カーメイトが展開する、走行状況の記録のみならずSNSに投稿するためにドライブ映像を記録したり、取り外して車外でカメラとして使えたりするユニークな商品「ダクション360」もある。
 価格帯は、5000円台というものから、5万円近い高級品まで幅広い。最近は高付加価値商品の人気が高く、オートバックス全店における昨年の平均購入単価は1万8000円と、前年より2000円ほど上昇した。また新車購入時に自動車ディーラーで買う人も増えているようだ。

 販売台数で先頭を走るのが、車載用品などを展開するJVCケンウッドだ。競合の中では後発となる2014年の参入だが、旧日本ビクター(JVC)が持っていたビデオカメラなどの光学技術を強みとする。ナンバープレートや標識の文字を正確に記録できるのがウリだ。現在は市販に加え、自動車ディーラー向けの販売が拡大。これが貢献し、2017年度の同社の車載事業売上高は前期比16%増の1728億円に拡大した。2018年度もディーラー向けを中心にさらなる成長を見込む。

 いったい、どのような人がどんな目的で買っているのか。JVCケンウッド・アフターマーケット事業部によると「圧倒的多数が50~60代で、万が一の事故のときに記録を残すのが一番の目的。意外と多いのが、高齢の親御さんにお子さんがプレゼントする例だ。走行中の映像を記録することで『こんなに危険な運転をしているんだ』と自覚してもらい、事故を起こす前に免許返納を促すきっかけになっている」。
 ただ、実際に事故が起こった際の効力には注意が必要だ。JVCケンウッドの製品の外箱には、「本製品は、事故の証拠として裁判などで効力を保証するものではありません」と明記されている。【SDカードなどの記録媒体を通して映像データに簡単にアクセスできるため、改ざんされる可能性】もあり、必ずしも正式な証拠として認められるとは限らないのだ。

 また、高齢の利用者には記録媒体の扱いが難しいこともある。正しく活用するのは簡単ではない。
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